欧州電力業界の合併ブーム

私が住んでいる欧州では、電力会社が国境を越えて大型買収を狙うケースが後を絶たない。

去年11月末には、スペインで第2位の電力会社イベルドロラが、英国のスコティッシュ・パワー(本社・グラスゴー)を買収する計画を発表した。

イベルドロラが投じる買収金額は、170億ユーロ(2兆6010億円)に達するものと推定されており、買収が実現すれば、株式時価総額600億ユーロ(9兆1800億円)という、ヘビー級選手がまた一つ誕生することになる。

イベルドロラが同社に白羽を立てた理由の一つは、高い収益性。520万人の顧客を持ち、英国第5位の電力会社であるスコティッシュ・パワーは、今年上半期の利益を前年に比べて77%も増やした。

同社の経営陣は、株主に対してイベルドロラによる買収に応じるように勧めているが、最終的な決定は、今年初めの株主総会で下される見通しだ。

スペインの電力市場では、ドイツ最大手のEONが、スペイン最大手のエンデサの買収計画を発表している。

合併をめぐる交渉は難航していたが、去年11月にはスペイン政府が買収のための条件を緩和して、合併が実現する可能性が高まった。

英国政府は、外国企業による国内企業の買収に対して極めてオープンなので、イベルドロラが政府に難題を突きつけられて悩む可能性は低いと見られている。

同国の電力市場では第2位のパワージェンが
EONに、スコッテイシュ・サザン・エナジーがRWE(独)に、ロンドン・エナジーがEDF(仏)に属するなど、外国勢が続々と乗り込んでいる。

第1位のブリティッシュ・ガス・セントリカには、ガスプロム(露)が関心を持っている。

欧州では自由化の時代に生き残るには、合従連衡が不可欠と考えられており、今後も大型合併が続くことは間違いない。

ドイツでも、大手RWEの買収に関する観測が、取りざたされている。


2007年1月10日